おれのキャリア、その2

その1はこちら

以下注意書きは再掲

注意書き

言わないでもわかると思うが、おれの視点による、その当時感じたこと、及び今考えることを書くので、所属した組織を代表するものではもちろんないし、これから述べることがその特定の企業群を適切に表現しているとは思わないでほしい。迷惑かけたらごめん、その時はこっそり教えてください。善処します。

前回まで

  • 大学で哲学やってかつ留年して、食いっぱぐれそうで怖い
  • 怖いからプログラミングを学んだ
  • これで食いたいと思った


これで食いたいと思ったおれだが、新卒としてソフトウェアエンジニアをやることに対してはびびっていた。本当におれはプログラミングに適性があるのか、自信を持てずにいた。

と同時に、当時は居酒屋のキッチンのアルバイトをしていたのだが、それすらも煩わしいほどプログラミングに魅せられていた(たぶん。ここら辺の熱中具合は記憶による脚色はあるかもしれない。ただ、大学の授業中に何かしらのコードを書いていた記憶はある)。

この一見すると矛盾する気持ちを解消できそうなものとして、エンジニアインターンというものがあることは知っていたので、そういったポジションを求めて、知り合いをいくらか当たった。ちゃんとしたインターン選考プロセスを踏むところへの応募は確か、経験の浅さゆえか全滅したのだ。

これまた幸運に恵まれ、哲学科のドクタの先輩のご友人に、カジュアルゲームやツール系のアプリの開発を行う企業の社長をしている人がいて、ご紹介に預かりそこで働けることになった。




こうして振り返ってみると、おれのキャリアは幸運に満ちている。紹介してくださった先輩と、バカみたいに経験の浅かったおれを雇ってくれたその会社の社長(彼もまた、大学の先輩であった)、及びその会社でご一緒させていただいた皆さんに、大変感謝している。

余談だが、その社長とは一緒にインド行くほどにおれは大好きだった。残念ながら最近は連絡を取り合えていないが、その後の転職の折りなど、飲みに連れて行っていただいたりもした。本当にありがとうございます。また一緒に遊んでください。




そんなこんなで無事にエンジニアとしてのインターンにありつくことができ、楽しく働いた。

最初は、顔文字(絵文字ではない)がリスト、厳密にはテーブルだが、で表示されており、それをタップでコピってユーザがどっかで貼っつける、というツールアプリを Android で実装させてもらった。一人で、新規で、だ。そもそもの企画や、基本的な仕様だったり、収益化のための広告を差し込む箇所などは全て社長に、詳細な画面デザインなどは社内のデザイナの方に、それぞれ考案・策定していただいた。




それが終わると、今度は企画から任せるので、なぞなぞアプリをなんか作れ、との拝命を受けた。当時流行していたなぞなぞアプリをいくつか教えていただき、それらのリサーチをして、企画案を考えた。

いろいろ考えた結果、某メッセージングアプリを模倣した UI で「おかん」と呼ばれる母親から、ゆるふわなメッセージと共に唐突になぞなぞが送られてくる、というのを思い立ち、それを作りたいですと提案した。記憶の限りでは、確か一発 OK をいただいた。おそらく、何を持って行っても自由にやらせてくれたのだと思う。




また、おれが今度は iOS でやりたいです、と希望を述べたら、それについても飲んでいただいた。当時は、Android アプリ開発を始めてから 1 年も経っていないように記憶している。そのようなペーペーに、今度は違う言語を使って、違うプラットフォームで動作するアプリを作りたい、と言われて OK してくれる経営者は稀有だと思われる。ありがたいことだ。

すでに Swift は出ていて、確か Swift 2.0 だったと思う。Java (Android アプリは Java で書いていた。当時、Kotlin はなかったと記憶している) と全く違う文法やパラダイムに四苦八苦した。Storyboard などの Interface Builder にも戸惑いながら、何とかリリースすることができた。今回も、実装は、一人で、新規だ。前回と同じく、広告差し込みポイントなどは相談させていただいたが、それも割とおれが考えたものを飲んでいただいたような記憶がある。詳細なデザインは、やはり社内デザイナの方にお願いした。




このアプリはだいぶマーケコストをかけていただき、それによっていくつかのアプリレビューサイトや、ゲーム攻略サイトなどにご紹介いただけるまでにはなった。確か AppStore のカテゴリ別ランキングとかにも載ったと思う。もちろん、おれのアプリの出来によるものではなく、全てはマーケコストをかけていただいたからだ。

それをリリースしたタイミングくらいで、おれの大学期間が終わりを迎えようとしていて、半年ちょっとのインターンを終えた。




今考えると、どちらも大変に貴重な機会で、当時、および 2021 年現在においても、一般的なインターンとはだいぶ違うと思う。開発に際して、経験のあるエンジニアによるレビューこそしてもらえなかったが、おれは初心者の頃はとにかく新規で数をこなすと良いと考えていて(おれがそういう育ち方をした、という贔屓目があるかもしれない)、ちょうどそのような機会を頂けたことをありがたいことだと認識している。




例によって飽きたので、続きはまた今度にする。読んでくれてありがとう。