星の王子様について、その4
星の王子様についてもうひとつ好きな箇所を思い出した。ので、書く。
地球に降り立った王子様は、やはり自分の星に帰らないといけないと思うようになる。異星人が故郷の星に帰るのは、どうやらお約束らしい。E.T. でもやはりそうだった。
帰るところがあるのはいいことだと思う。おれには帰るところがないから、羨ましく思う。
閑話休題。
星に帰るにあたってなんやかんやあるのだが、おれが特に好きなのは、語り手のパイロットが、王子の帰った後の日に、夜空を見て思う一節だ。
王子が来て、仲良くなって、そして自分の星に帰っていく以前は、星々はただの夜の道標だった。しかし、この星らの内のどれかに、王子の星がある、とパイロットは考えるようになる。
そうなると、もうそれはただの夜の明かりではない。それらひとつひとつは、王子がいる星である可能性を秘めていて、もちろんハナっから輝いてはいたのだが、以前よりも輝いて見えるようになる。
天空の城ラピュタの主題歌の冒頭も、だいたいそんなことを言っているように思う。新潮文庫から出てるサン=テグジュペリの本の表紙を、宮崎駿がイラストを描いたりしているので、彼の中でもお気に入りの作家のようだ。
蝉がうるさいから終わる。